昨年10月7日にパレスチナ自治区ガザに軍事侵攻したイスラエルは、ヨルダン川西岸でも攻勢を強め、大規模な「対テロ作戦」を続けている。西岸のパレスチナ人の死者は9カ月間で550人を超えた。うち100人以上を占める北部ジェニンで15歳の息子を亡くした住民らがその実態を語った。
5月21日午前7時45分ごろ、勤務先の学校への通勤のため、同僚と乗用車の後部座席に乗っていたジェニンの教師モハメド・アルマスリさん(44)はサイレンが鳴り響くのを聞いた。イスラエル軍が市内に侵入したことを知らせる警報だ。
学校までは3分ほどかかる。車窓からは、パニックになった人たちがあわてて屋内に避難する姿が見える。学校まであと30秒。銃声が聞こえた。自分にも当たったようだが、恐怖のあまりどこが痛いのかもわからず、必死に身をかがめ続けた。部隊の姿は見えず、どこから撃っているのかも想像がつかない。
寄りかかってきた同僚を見ると
運転手がハンドルを切った時…