南アフリカのケープタウンで2025年4月27日、山林火災に対処する消防士たち=ロイター

 山林火災で出た微小粒子状物質「PM2.5」が住宅などに流れ込み、国際基準を上回るほど屋内の空気が汚染される人が年間10億人超もいる――。そんな推計を中国などの研究チームが15日、科学誌サイエンス・アドバンシズで発表した。気候変動の影響で山林火災は増えているが、貧困層ほど対策がとれず健康リスクが高まるため、世界的な不公平が広がることが懸念されるという。

 PM2.5は直径2.5マイクロメートル(マイクロは百万分の1)以下の細かい粒子。チームによると、山林火災で発生するPM2.5は、早産のほか、呼吸器疾患や心血管疾患の悪化といった健康被害との関連が指摘されている。

 チームは、フィンランド気象研究所がまとめた2022年までの20年間の世界各地の山林火災に関するPM2.5の濃度推計データを活用。住宅への流入量を調べた先行研究などを参考に、屋内の山林火災由来のPM2.5濃度を推計し、世界保健機関(WHO)の1日あたりの暫定目標でもある、1立方メートルあたり15マイクログラムなどと比べた。

 その結果、年に1回以上、健…

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