自民党最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)が政治資金パーティー収入の一部を裏金化したとされる事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いで告発され、東京地検が不起訴にした同派の山谷えり子・元拉致問題担当相(参院議員)の事務担当者だった秘書について、東京第四検察審査会は不起訴を「不当」と判断した。議決は2024年12月18日付で、処分内容の再検討を検察に求める議決書を公表した。
検察審査会は議決書で、秘書が山谷氏にノルマ超過分のパーティー券収入を収支報告書に記載しないことを報告・相談しなかったのは「議員を守るためパーティー券に関する事項について議員には話してはいけないとの趣旨の先輩秘書の教え」があったからだと指摘した。
秘書が「教え」の趣旨を、「万が一、それが贈収賄や公職選挙法違反、政治資金規正法違反であると疑われた際に議員の責任が問われないように、収支報告書上の取り扱いについても議員に相談や報告はするなというアドバイスであると理解した」とも述べた。
また、検察審査会は、山谷氏が代表の政治団体の収支報告書で19~22年(4年分)の不記載額が計1919万円に上った点について「一般の国民の感覚としては非常に高額で、検察官は認識を改めるべきである」と言及した。検察による虚偽記載罪の立件目安は3千万円とされている。
山谷氏と別の秘書については「不起訴処分(嫌疑不十分)を覆すに足りる事由がない」として、不起訴を「相当」とした。
山谷氏は、24年1月に18~22年(5年分)の不記載額が計2403万円だったと公表。24年4月に党の役職停止1年間の処分を受けた。