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 北海道は国内の生乳生産のおよそ6割を占める酪農大国だ。だが、担い手不足が深刻化しつつあり、物価高の影響も強く受ける。生産現場からは持続可能性を疑問視する声があがる。

 7月、遠軽町東白滝の酪農家、佐藤貴啓(たかあき)さん(37)はトラクターを運転し、牧草を刈っていた。天日で干して乾燥させ、ロール状に巻いていく。長い冬に備えるこの時期、天気とにらめっこしながら、寝る間を惜しんで作業する。

 酪農家は生き物相手の仕事だ。佐藤さんは、ヘルパー制度を使えば休めるが、畑作農家のように長期間の休みをとることはできない。それでも「消費者に牛乳や乳製品をおいしく食べたり飲んだりしてもらえるなら苦にはならない」と話す。農業は自然の恵みを消費者に届けられる貴い職業だと信じている。

写真・図版
牛たちにエサをあげる佐藤貴啓さん=2025年5月15日、北海道遠軽町東白滝

 山形県出身の佐藤さんは、2022年1月に「佐藤牧場」の経営を始めた。貴啓さんが妻のみどりさんと出会ったのは、酪農家の女性と、農業に興味がある男性のマッチングイベントだった。

 土地や牛舎、牛はみどりさん…

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