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ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス准教授のジン・クーユーさん=本人提供

 高成長を謳歌(おうか)した中国経済が分岐点を迎えている。ここ数年は不動産不況や少子高齢化で内需が低迷し、足元では米トランプ政権が仕掛けた関税戦争も影を落とす。だが、英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス准教授のジン・クーユーさんは、中国経済は「まだ発展途中」と母国の更なる成長に期待を示す。どこに復元力を見ているのか。

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 ――トランプ氏が仕掛けた「関税戦争」が中国経済に与える影響は? 外需は、中国のGDP(国内総生産)の約3割を占め、米国は東南アジア諸国連合(ASEAN)、欧州連合(EU)につぐ3番目の貿易パートナーです。

 「短期的に見れば痛手でも、長期的には米国の政策は裏目に出るでしょう。国際社会での(自由貿易を守る)中国のイメージを押し上げる効果もあります」

 「中国政府や企業は、トランプ政権が発足する数年前から準備してきました。輸出の対米依存度を下げるだけではなく、企業は(米国以外の)外国に積極的に投資し、サプライチェーンを組み替えてきました。米国の圧力が多角化を加速させたのです。技術革新も同じです。米国から締め出された(通信機器大手の)華為技術(ファーウェイ)は、より多くの資金をイノベーションに投じ、(米国の)代わりを考えて成長している」

 「投資マネーが米国から他地域にシフトする可能性があり、中国も当然、その対象になります」

 ――中国政府は、低所得国向けを中心に関税の引き下げを強調しています。米国への対抗ですか?

 「先進国との間でも、欧州連…

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