肥料を施そうとして自宅近くの田んぼに行くと、あぜの近くで見慣れないものが目に入った。風船のゴムの切れ端と、ひもの先に付いた透明な袋。中に入っていた紙切れには、ひらがなの多い文字とともに、小学校の閉校日が記されていた。
三重県伊賀市柘植町の農業、山本進さん(77)が今月14日、見つけた。縦横4~5センチほどの紙には、低学年の児童が書いたものだろうか、たどたどしい鉛筆書きの文字。「ひろってくれて、ありがとうございます。大せつにそだててください」とあった。「岡山県加賀郡吉備中央町立上竹荘(かみたけのしょう)小学校 令和7年3月31日閉校」とも記されて、アサガオの種3粒が入っていた。
「ようこんなとこまで飛んできたな」。山本さんは驚いた。岡山県のほぼ中央に位置する同町から柘植町まで、直線距離で約230キロ。「たいていは山の中に落ちてしまうだろうに」
一刻も早く知らせたい。山本さんは妻の佳子さん(75)と相談し、学校に手紙を出すことに。自分たちの年齢や2人暮らしであること、伊賀が忍者の里ということや閉校にじんときたこと、新しい学校で元気に過ごしてほしいことを便箋(びんせん)2枚にしたためた。
翌日は土曜日だったが、朝の…