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中沢公彦・静岡県議会議長(中央)に退職届を渡す川勝平太知事=2024年4月10日午前9時23分、静岡市葵区の県庁、田中美保撮影
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 静岡県の川勝平太知事(75)が10日に県議会議長に退職届を提出し、5月9日いっぱいで県庁を去ることが決まった。2009年の初当選から約15年、学者出身の知事として新しい発想と独自の政策で県政に変化をもたらし、静岡の「顔」として人気を集めた。しかし、時に強引な県政運営が自民党などとの対立を深め、問題発言を繰り返したことがあだとなり、強烈な光と影を抱えた「川勝時代」に自ら幕を閉じる。(大海英史、田中美保、青山祥子、斉藤智子、青田秀樹)

 退職届の提出から4時間半後、会見に臨んだ川勝知事は、辞職を早めた理由について「私の発言によって県民の皆さまに大変ご迷惑をかけた。なるべく早く止めたい、県政の空白を短くする」と述べた。

 当初は県議会6月定例会の初日で辞職する考えだったが、10日までに県に寄せられた批判や抗議は2983件にのぼり、批判の矛先が県全体に及ぶような広がりを見せたことを踏まえたという。

 知事は「(県民に)迷惑をかけたのは全くもってつらいこと。私だけが原因だ。なるべく早く私が去るのが県民のためになる」と強調した。

 約15年の任期で最もうれしかったことは13年の富士山の世界文化遺産登録を挙げた。悲しかったことは21年に熱海市伊豆山であった土石流災害だとして、県の対応に「反省すべきことがたくさんある」との認識も示した。県民へのメッセージを求められると声をつまらせ、「本当にありがとうございましたと言うしかない。静岡県は素晴らしい。文字通り、住んでよし、訪れてよし、働いてよし、と堂々と言える」と強調した。

 辞職表明からわずか8日。すでに、知事選に向けた候補選びが加速している。「ぜひ各候補者の政策を聞いていただいて、投票率が高まることを期待したい」と述べるにとどめた。

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 学界から政界に転じた川勝氏…

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