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大阪府門真市役所=2025年5月9日、西崎啓太朗撮影

 大阪府門真市の宮本一孝市長が今年度、自身の子どもが通う小学校のPTA会長に就任した。市長とPTA会長の兼務を禁じる法令はないが、市議会の各会派が「市民に対する公平性」への懸念を示し、行政のトップとして「市民の信頼性失墜につながらないように努めることを求める」との要望書を出している。

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 宮本市長によると、PTA会長への就任を頼まれたのは昨年11月。複数の保護者に打診してPTA役員を決めている学校内の委員会からの依頼だったという。市教育委員会と市秘書課に法的に問題がないことを確認し、「他に引き受ける人がいたら、その人を優先してほしい」とした上で、応じる意向を伝えたという。

 取材に「法的に問題はなく、子どもが通う小学校を良くしようという思いで引き受けている」と話し、公務とも両立できるとした。

 総務省によると、地方自治法には自治体の首長がPTA会長を兼ねることを禁じる規定はない。

 一方で門真市議会は5月、市長のPTA会長への就任は「利益相反が生じることも考えられることから社会通念上避けるもの」「問題が生じた場合には自ら説明責任を果たすことを求める」などとする当時の池田治子議長名の要望書を市長に渡した。

 池田氏は取材に、各会派から懸念が上がったため、議論を重ねて市議会の総意で要望に至ったとする。すでに就任したPTA会長の退任は求めないが、「政治家として市民に疑念を抱かせるようなことはしてはいけないのでは」と話した。

 各地のPTAを取材してきたフリーライターの大塚玲子さんは「校長にとって市長は、力関係が自分より明らかに上。校長は何か要求されれば、のまざるを得なくなってしまうのではないかとの懸念がある」と話す。

 ただ、地方議員が「学校現場を詳しく知りたい」との動機でPTA会長になる例はあるという。

 千葉工業大の福嶋尚子准教授(教育行政学)は「首長がPTA会長になっても何か権限が増えるわけではない」と話す。一方で、「自身の子どもが通っている学校だけ教育を手厚くしないかなど、住民からはより厳しい目が向けられるだろう」と指摘している。

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