ベネッセコーポレーションの米谷明子・たまひよ統括編集長=2025年7月29日、東京都新宿区、本多由佳撮影

 無痛分娩(ぶんべん)への関心が高まるなか、妊産婦は「産みの苦しみ」とどのように向き合ってきたのでしょうか。東京都が10月から無痛分娩への助成を始めるのを前に、妊娠・出産・育児雑誌「たまごクラブ」「ひよこクラブ」(ベネッセコーポレーション)の米谷明子・たまひよ統括編集長に聞きました。

【アンケート実施中】「産みの苦しみ」を考える

 東京都は10月から無痛分娩に最大10万円の補助を始めます。「少子化対策の一環」である半面、「おなかを痛めて産んでこそ母性が芽生える」「出産の痛みに耐えることは美徳」といった「産みの苦しみ」を重視する傾向に一石を投じる動きだ、という見方もあります。「産みの苦しみ」をめぐる価値観について考えます。

 ――無痛分娩は読者の関心も高いですか。

 今年で創刊32年になりますが、この3~4年、特に関心もニーズも高まっていると感じます。

 「たまひよ」のアプリで、分娩施設を検索できる厚生労働省の「出産なび」の使用状況を調べたことがあります。検索の詳細条件の設定で、最初か2番目くらいに「無痛分娩あり」を選ぶ人が多いことが分かりました。

 「たまごクラブ」でも近年、無痛分娩を扱うページ数が増えています。対応できる施設も増え、「痛みを和らげられるのであれば」と選ぶ人が多いのではないでしょうか。

 ただ実際には、近所に対応できる施設がなかったり、ハイリスクや逆子などの理由で帝王切開になったりして、希望通り無痛分娩できなかったという産婦も少なくありません。

「母乳が出にくいのは帝王切開だったから?」

 ――自然分娩を選ぶ人もいます。

 年齢やライフプランを考慮し、出産が「人生で1度きりかもしれない」という人もいるなかで、どんな選択をするかは人それぞれです。

 ――かつて日本では「おなかを痛めてこそ母性が芽生える」という考えが根強くありました。

 今は、そのような理由で自然分娩を選ぶ人はあまりいないと思います。

 一方で、帝王切開で出産した人が後ろめたさを感じるケースは、依然としてあります。編集部にも「母乳が出にくいのは帝王切開だったから?」「傷痕を見る度に『経膣(ちつ)分娩できなかった』と落ち込む」といった声が寄せられます。「ひよこクラブ」で、こうした「もやもや」に答える特集を組んだこともありました。

「キラキラ」投稿を見て…

 ――なぜ後ろめたさを感じるのでしょうか。

 お産の方法に限らず、出産や…

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