イメージイラスト・佐藤茉優希

 強盗に入るとき、帰る交通費もなかった――。昨年夏以降に関東で相次いだ「闇バイト」が関与した事件。実行役として捕まった被告の男(29)の犯行のあらましが法廷で明らかになった。正社員で一定の収入があった男は、なぜ闇バイトに手を染めていったのか。

 6月、千葉地裁で開かれた裁判員裁判の初公判。紺のスーツに水色のネクタイを締めた被告は、強盗致傷については「間違いありません」と起訴内容を認めた。

 被告は昨年11月3日未明、千葉県四街道市の民家に侵入し、住人男性に暴行を加えて1万3千円を奪い去った強盗致傷と住居侵入罪と、その前に市内の別の住宅に押し入ろうとした住居侵入未遂罪で起訴された。

 闇バイトに手を出すまでに何があったのか。検察側、弁護側双方の冒頭陳述や被告人質問から振り返る。

 検察官「今、借金いくらありますか」

 被告「60万円くらいです」

 検察官「そのうちヤミ金から借りたのは」

 被告「3万円くらいです」

借金重ねた原因は

 被告は高校卒業後、専門学校に入ったが中退。飲食店のアルバイトなどを経て、コールセンターの正社員になった。月収は手取りで20万円余りあったが、25歳で一人暮らしを始める頃には借金が100万円ほどに膨らんでいた。

 原因は「ギャンブルで使い過…

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