大東文化大入学センター所長の堀川信一副学長(同センター提供)

 学力試験で事実上、合否を判定する学校推薦型選抜を今月、東洋大(東京都)が同大として初めて実施し、物議を醸しました。

 学校推薦型を含めて「個別学力検査の試験期日は2月1日から」と定めたルールに違反すると、文部科学省や高校団体の代表者らが指摘したからです。

 ルールとは、全国の大学や高校の団体が合意し、文科省が公表する「大学入学者選抜実施要項」のこと。学校推薦型や総合型の「年内入試」が増える中で学力試験の時期まで早まってしまうと、「高校の教育を大きく混乱させる」などの理由です。

 このため文科省は、東洋大と、同様の入試を11月に実施した大東文化大(東京都)に対し、「ルールを守って」と指導しました。

 一方、同様の入試は、関西の多くの私大が以前から導入済みという事実もあります。

 反対意見について、どう考えるのか。大東文化大入学センター所長の堀川信一副学長に聞くと、文科省側との見解の違いが明らかになりました。

  • 志願数2万人は「想定内」 波紋呼ぶ東洋大の新入試、担当部長の狙い

 ――今年から始めた新しい学校推薦型選抜は学力試験の結果で判定する併願可の公募制で、東洋大の「基礎学力テスト型」とほぼ同じですね。導入の背景は。

 今年実施する予定はありませんでしたが、春に東洋大さんが「今年の12月に実施します」と発表したので、急きょ導入を早めました。

 本学は東洋大さんとの併願者が多いので、「次年度以降の導入では手遅れになる。学生確保への影響が大きい」と思いました。

 特に「年明けの一般選抜で志願者が大きく減るのでは」「定員充足率を保つために、レベルに達していない受験生にも合格を出さざるをえない状況が生じてしまうのでは」と危機感を覚えました。

 ――東洋大の新入試は、志願数が約2万人に上りました。大東文化大の試験日は11月24日で、東洋大の試験の7日前。入試要項によれば全8学部で実施し、募集人員は243人となっています。結果はどうでしたか。

 志願者は1千人弱でした。入試についての発表が6月末ごろと遅かったですし、このぐらいかなと思っています。東洋大さんよりは少ない規模ということになりましたが、チャレンジしてくれた受験生には感謝しています。

 合格者数は、ほかの公募制推薦の入試全体のなかで判断します。中には一般選抜で併願先に受かってそちらを選ぶ受験生も多くいますから、歩留まりの見極めがとても難しいと思っています。

 結果を見ると、よく勉強している生徒たちが多く受けてくれたと感じています。そうした層が受けてくれたという意味では期待通りと言えます。

 ――学力テスト型を導入する狙いは、東洋大への対抗でしょうか。

 昨年秋に学内の会議で提案す…

共有
Exit mobile version