大手企業が業績は堅調なのに、希望退職を募って人員削減に踏み切るケースが相次いでいる。不採算事業の見直しなど、企業に求められる構造改革の速度が上がり、株主からの圧力も高まっていることが背景にある。社会の受け止め方の変容も一因になっているとみられるが、安易な人員削減策の危うさを指摘する声もある。

ルネサスエレクトロニクスグループの那珂工場(茨城県)=ルネサスエレクトロニクス提供

あなたが勤務先の企業から退職勧奨を受けたらどうすればいいのか。記事の後半では、拒否する場合に知っておくべきことなどを、労働問題に詳しい弁護士に聞きました。

 労働組合「電機・情報ユニオン」によると、大手半導体メーカーのルネサスエレクトロニクスでは昨年11月、「人員削減施策について」と題した柴田英利社長のメッセージが、従業員に向けて一斉に「社外秘」で配信された。

 「痛みを伴うものの、他社に遅れることなく組織や人員体制の見直しを行うことは、成長するために必要不可欠であることをご理解ください」

 国内外の全従業員の5%(1千人規模)未満の人員削減を実施することを周知する内容で、対象となる従業員への伝達は今年3月までに終えるとした。4月に予定されていた定期昇給も見送る。

 メッセージなどによると、ルネサスは前年にも人員削減を実施し、全従業員の1.6%にあたる329人が退職した。2023年12月期の純利益が過去最高を更新した中でのリストラだった。24年12月期は減収減益だったが、2190億円の純利益を確保している。

 三菱電機と日立製作所の半導…

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