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広島の滝田一希=2月
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 広島のドラフト3位新人・滝田一希(22)がプロの第一歩をしるした。

 北海道・星槎道都大から入団した左腕は10月5日に本拠マツダスタジアムであった今季最終戦で初登板。初白星を手にした。

 「幸先良くスタートを切ることができた。これを来年につなげたい」と声を弾ませた。

 この日が現役最後の登板になった野村祐輔(35)の先発のあと、二回からマウンドへ。「祐輔さんの引退試合だというのも頭にあった。一球一球、丁寧に投げた」

 観衆は今季最多の3万2011人。入団時に「満員の中で投げたい」と語っていた滝田は、その中で4回1失点。堂々たる投球を見せた。

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 実は、登板直前にアクシデントがあった。投手交代のアナウンスが告げられたものの、なかなか背番号30が出てこない。

 ざわめきの中でようやく姿を現した滝田の鼻の穴には、白い詰め物が見えていた。

 「ブルペンで投げていたときに、下を向いたらいきなり(鼻血が)ばーっと」

 しかも、チームの一回の攻撃が併殺で終わってしまうという展開に、「やばい、やばいとみんな大騒ぎで……。(鼻に詰め物を)入れていけ、入れていけって」と、舞台裏を明かした。

 だが、登板前にドタバタしたことで、マウンドでは開き直れたのかもしれない。「いい経験だったと思います」と、報道陣に囲まれながら笑った。

 大学時代に亡くなった母・美智子さんに届ける白星にもなった。

 「ここまで育ててくれて感謝しています。帰って報告したいと思います」

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