(11日、春季広島県高校野球大会決勝 英数学館2―1広陵)
「3年前と一緒やな」
英数学館の黒田元監督は試合中、3年前の夏を思い起こしていた。2022年の広島大会3回戦。英数学館は序盤の2点を守り、広陵を2―1で破る快挙を遂げた。
その試合に影響を受けて、英数学館で野球を再び始める決意をした選手がいた。
中学生の時、続けてきた野球が嫌になり、バレー部に入った。だが中3の夏、広陵が広島大会2連覇を狙う広島新庄を破った試合を観戦し、野球の楽しさを思い出した。その広陵に次の試合で勝ったのが、英数学館だった。同校への進学を決めた。
あれから3年。英数学館の1番打者、岩槻翔大選手(3年)がグラウンドで躍動してみせた。一回裏、外角高めの直球を右翼方向に運び三塁打とすると、先制の本塁を踏む。三回には変化球をバットの芯で捉え、左越え本塁打で2点差に引き離した。
接戦に持ち込めたのは、藤本勇太投手(同)の存在も大きい。前日の尾道との試合を完封し、春の県大会全5試合を完投。この日は広陵打線を散発4安打、7奪三振に抑え、「ピンチの場面でギアを上げた」と要所を締めた。
広陵を破って初優勝を果たした後、岩槻選手は「僕の高校野球は広陵がきっかけで始まった。だからこそ、勝てて本当にうれしい」と笑顔をこぼした。黒田監督は「練習を一番頑張る、とにかく野球が大好きな選手。春は不調が続いたが、やってくれた。最後まで投げた藤本には、底力とはこういうものだと思わされた」とねぎらった。
甲子園出場校を破り、勢いに乗る英数学館。5月31日からの中国大会は、初戦で岡山東商と対戦する。