松岡俊二・早稲田大教授=2024年10月、東京都新宿区、力丸祥子撮影

 2011年、原子炉がメルトダウン(炉心溶融)した東京電力福島第一原発で、溶けた核燃料(燃料デブリ)の取り出しがようやく始まった。ただ、ここまでにトラブルやミスが相次いだ。背景にどんな問題があるのか。廃炉の進展に何が必要なのか。政策学が専門で、災害復興を研究する早稲田大教授の松岡俊二さんに聞いた。

責任持つべき東電 廃炉の戦略つくらず

 2051年までの廃炉を目標とする国と東電の当初計画では、21年末までに燃料デブリの取り出しを始める予定でした。ところが、ロボットアームの開発遅れや様々なトラブルで延期や中止を繰り返しました。

 技術的な課題だけではなく、根深い構造的な問題が背景にあることに目を向ける必要があります。具体的には、国と東電、原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)の三者のもたれ合いが、責任の所在を見えにくくしています。

 NDFは賠償金の迅速な支払いなどのため、国が11年に設立し、14年から廃炉の技術支援も担うようになりました。廃炉は国が大方針を決め、NDFが年度ごとに技術戦略をつくり、これらに沿う形で東電が現場で作業をしています。

 責任を持つべき東電が廃炉の…

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