Smiley face
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引退会見で笑顔を見せるロッテの美馬学=2025年9月18日午後4時10分、ZOZOマリンスタジアム

 今季限りでの現役引退を表明したプロ野球・千葉ロッテマリーンズの美馬学投手(38)の引退会見が18日、千葉市のZOZOマリンスタジアムで開かれた。

 15年のプロ野球生活を振り返り、「あっという間だった。苦しいことが多かったけれど、最後まで戦い抜けた」と語った。

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 近年はけがが相次ぎ、今季はここまで1軍での登板がなかった。野球人生でひじは計6回手術した。

 「家族やトレーナー、医療関係者らの支えで、ボロボロだった体をなんとかここまで持たせてくれた。本当にありがとうございました」

 逆境を迎えるたびに、「野球が好き」という純粋な思いが、何度もその壁を乗り越えさせてくれた。

 「野球ができなくなると、やっぱり野球が好きなんだな、ということを改めて確認できるんです。1軍のあのマウンドにまた立ちたい、勝つ喜びをまた味わいたい、という思いを支えに、リハビリ生活を頑張ってこられた」

 茨城・藤代高から中央大、東京ガスを経て2010年秋のドラフト2位で東北楽天ゴールデンイーグルスに入団した。

 身長169センチの小柄な右腕ながら、右打者の内角を突くシュートを武器に1年目から救援投手として活躍した。どんなに打たれても、逃げずに内角を攻める投球スタイルには理由があった。

 「身長もそうだし、いろんな劣等感の中で野球をやっていた。大きい選手に負けたくない、勝ちたいという反骨心を常に持って野球をやっていた」と明かした。

 2年目から先発に転向し、13年の読売ジャイアンツ(巨人)との日本シリーズでは2勝をマークしてMVPに輝いた。この活躍で自信が深まったという。

 先発転向を助言してくれたのは、当時の星野仙一監督だった。今でも感謝の気持ちでいっぱいだ。「こんなに長く野球ができました、と言いたい。たぶん驚いていると思う」。落ち着いたら、18年に亡くなった恩師の墓前に報告に行くつもりだ。

 印象深い試合を問われると、国内フリーエージェント(FA)権を行使し、ロッテに移籍した1年目の最終登板(20年11月5日のソフトバンク戦)を挙げた。

 先発し、八回途中まで4安打1失点と好投。八回のピンチで、後を託した中大の後輩でもある沢村拓一が無失点でしのぎ、10勝目を手にした試合だ。

 「自分の中でもいい投球ができたけれど、なにより、チーム一丸で戦えた試合だった」

 会見の最後に、その沢村からサプライズで花束を受け取ると、それまで笑顔だった表情が一転した。「ようやく(引退の)実感が湧いてきた」と目を潤ませた。

 通算成績は266試合で80勝88敗、防御率3・94。

 30日の楽天戦(ZOZOマリンスタジアム)で引退試合を行う。

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