鹿児島県徳之島の伊仙町長選は11日投開票された。無所属新顔2氏が争い、元町教育長の伊田正則氏(66)が、元高校校長の盛初弘氏(63)を破って初当選した。当日有権者数は4899人、投票率は92・53%(前回92・85%)だった。
6期務めた大久保明前町長(70)が任期を約半年残して辞職したことに伴う選挙。大久保氏から事実上の後継指名を受けた伊田氏は、「町には派閥がある。派閥を解消するために立候補を決意した」と強調。教育環境整備や農業振興などで子や孫が誇れるまちづくりを目指すと訴え、支持を固めた。
- 半年早まる選挙、徳之島の「政争の町」でなにが 過去に機動隊派遣も
盛氏は「稼ぐ力と人を生かす政治」を掲げ、「町の外から仕事をどんどん持ってくる」などと町政の刷新を訴えたが、及ばなかった。
大久保氏は今期限りでの勇退を表明していたが、「過熱した選挙になるのを防ぐため」として4月26日付で辞職。短期決戦の選挙になった。接戦に伴うトラブルに備えて、町は役場敷地内への関係者以外の立ち入りを制限。町職員や警察官、県警機動隊員らが警戒にあたった。
「政争の町」として知られる伊仙町は、中選挙区時代の1983年から衆院選の旧奄美群島区を舞台に自民党の故保岡興治氏と医療法人「徳洲会」グループの創設者・故徳田虎雄氏が激しく争う「保徳戦争」が繰り広げられた。二分した町のかつての町長選は「代理戦争」に。特に過熱した91年の町長選は、両陣営の支持者が開票所を取り囲み、石が投げつけられてけが人が出るなどした。不在者投票の一部が開票所に運び込めなかったとして、最終的には選挙が無効になる事態にまで発展した。
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伊仙町長選の開票結果は以下の通り。
伊田正則氏 2386票
盛初弘氏 2101票