(12日、第107回全国高校野球選手権大会2回戦 山梨学院6―2聖光学院)
「いぶし銀」の守備と一打が、大舞台で輝いた。
見せ場はいきなりやって来た。一回1死、右中間に飛んできた山梨学院の左打者・宮川真聖選手(3年)の打球に聖光学院(福島)の鈴木来夢(らいむ)選手(3年)は横っ跳び。グラブに白球が収まると、球場は歓声と拍手で沸いた。
山梨学院の打撃は「引っ張る傾向が強い」と読んで臨んだ鈴木選手。だから、定位置より右翼線寄りに守備位置を取っていた。ところが打球は逆方向へ。それでも「いける!」と判断した瞬間、体が跳んでいたという。
抜けていれば強打の山梨学院に一気に流れがいってしまうところ。球際の強さは、重点的に守備の練習をしてきたたまものだ。「初回だったけれど思い切っていった。やってきたものが出せた」
1点先行された直後の七回にはチーム初打点も挙げた。先頭の竹内啓汰主将(3年)がチーム初安打を放った後、1死三塁で打席が回ってきた。初球の直球を左前安打。すかさず同点とした。
鈴木選手は今春レギュラーを取り、練習への取り組みや気持ちの持ちようが変わったという。「心技体を変えたいという思いが一番強く、チームの中で一番激変した」と斎藤智也監督。ここぞの一本と守備に「まさにいぶし銀。野球の神様は見ている」と称賛した。
空振り三振で試合終了。最後の打者になったが「日々、練習を積み上げて、甲子園で全力でやりきれた」と晴れ晴れとした表情だった。