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 温泉客らでにぎわうJR伊東駅(静岡県伊東市)から国道135号を南東へ車で約15分。「あっかんべー」と舌を出した学生服姿の少年らの横に、赤い文字で「まぼろし博覧会」と描かれた看板が道沿いに現れる。SNSで話題の「セーラちゃん」が館長を務めるテーマパークだ。

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来場客とセーラちゃん(中央)の背後に立つ聖徳太子胸像=2024年10月18日午後2時28分、静岡県伊東市、小林一茂撮影

【撮影ワンポイント】まぼろし博覧会

 眼前の情報量の多さに圧倒されつつ、セーラちゃんの気さくな展示物の説明を聞きながら館内を歩き回った。おもちゃ屋の前で、2人組がセーラちゃんと記念撮影。木々の間から顔をのぞかせる聖徳太子の巨大な顔が、異世界感を際立たせてくれた。混沌とした館内では、これでもシンプルな構図だと思う。(小林一茂)

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 閉園した熱帯植物園(約1万3千平方メートル)を再利用した施設だ。駐車場に着いて目に入る、南国を感じさせる樹木と高さ10メートル超のガラス張りの建物にはその面影が残る。来館者が最初に足を踏み入れるのは、かつて温室だったこの建物だ。

 館内に入ってまず、聖徳太子の胸像に驚かされる。ガラス天井を突き破りそうにみえるほどの大きさだ。周囲にある古代エジプトの埋葬品に似た人形の数々は展示物というよりは放置されたようにもみえる。飾られた多くのポスターは変色し、破れたものもある。

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コスプレした来場客とセーラちゃん=2024年10月18日午後1時47分、静岡県伊東市、小林一茂撮影

 「整然と並んでいるのは不自然だし、(モノが)朽ちるのはむしろ自然」。展示物のほとんどに解説が用意されていないのは「いろんな視点で自由に楽しんでほしいから」。「セーラちゃん」を名乗る館長の鵜野義嗣さんの持論だ。

 館長独自の世界観は館内のあちこちで見て取れる。昭和レトロを感じさせる日用雑貨やおもちゃ、ストリップ劇場の看板、閉館した性風俗に関する展示施設から譲り受けたマネキンの一群……。「庶民の生活の中で生まれたものなら、生ものや危険物以外は何でも集める」。2011年の開業以来、展示物は増え続けているのだという。

 来館者は年間約4万人で、リ…

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