第69回鹿児島県吹奏楽コンクール(県吹奏楽連盟、朝日新聞社主催)が25日、鹿児島市の川商ホールで開幕した。初日は高校Aの審査があり、九州吹奏楽コンクールへ進む県代表には、松陽、神村学園中・高、出水中央が選ばれた。ほかに、甲南、鶴丸、加治木、鹿児島情報が金賞を得た。
県吹奏楽コンは31日までの計7日間。小学生から社会人までの計約190団体が出場し、演奏を披露する。
「最高の音楽」を合言葉に取り組んできた大島高校は、自由曲で歌劇「トゥーランドット」を披露しました。オペラの傑作とも言われる名曲をいかに表現するか。一人のサックス奏者の思いを聞きました。
大島高校吹奏楽部
プッチーニの歌劇「トゥーランドット」のドラマチックな最後のアリアの演奏がホールに満ちていく。その中心には、ソプラノ・サックスの澄んだ音色が響いていた。
鹿児島県立大島高校(奄美市)の肥後政哉さん(3年)は、抑揚に合わせて体を揺らし「遠くの客席まで届けたい」と、吹き続けた。
そう思うのは、病院での患者たちとの出会いがあったからだ。
大島は一昨年は県代表候補、昨年はサックスパートが審査員賞に選ばれるなど、実力をつけつつある。パートの立役者が肥後さんで、顧問の有村恵先生も「細かいニュアンスの表現が巧みで、高校レベルの音楽性を超えている」と一目置く。
肥後さんは、例年開く定期演奏会でなかなか空席が埋まらないことが気になっていた。来場者アンケートを調べると、お年寄りや小学生が少ないと気付いた。
「奄美大島も広く、遠方の人は来にくい。様々な事情で来ることもできない人がいるのかもしれない」
だったら、自分たちから出向く「訪問演奏」をすればいい。
高校の「総合的な探究の時間」で、音楽をテーマに取り組みたいと考えていた部員たちと話し合い、3人で島内の学童保育やスーパー、保育園での演奏を始めた。
4月に入るころ、病院で訪問…