Smiley face
写真・図版
イラスト・春岡舞

 日米間では合意したものの、引き続き世界を揺さぶる「トランプ関税」。1980年代から日米交渉を取材してきたジャーナリストの軽部謙介さんは、米国が関税を振りかざすのは今に始まったことではないとする一方、今回は二つの政策意図が混在しており、交渉の質は過去と比べて「驚くほど低下している」とも指摘する。ここまでの米国の振る舞いから読み取れること、日本が大切にすべきことは。

 ――トランプ米大統領は、まるで関税を武器にしているかのようです。

 「米国は実際、関税を武器にした経済分野での『静かな戦争』を始めたように見えます。関税を政策実現の道具として使うのはトランプ氏の発明ではなく、米国の歴史で珍しいことではありません。これまでも、大きく2種類の政策意図から発動されてきました」

 「一つは1930年の大恐慌…

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