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文書交換式で握手を交わす石破茂首相(右)とインドのモディ首相=2025年8月29日午後7時46分、首相官邸、岩下毅撮影
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 揺れ動く国際情勢のただ中で向き合った日印首脳は、共同声明で両国関係を「重要な岐路」にあると表現した。全方位外交を続け、人口増を追い風に成長を続けるインドとの関係をどう強化していくか。日本の模索が続く。

 首脳会談に先立ち、都内のホテルで開かれた日印経済フォーラム。石破茂首相はモディ首相や大勢の経済関係者を前に、両国をさらに発展させるカギとして、半導体など重要技術分野での協力や人材交流の促進を挙げた。「不確実性の増す世界経済の中で、信頼できるパートナーと強靱(きょうじん)なサプライチェーン(供給網)を構築し経済安全保障を確保することは、さらなる経済発展に不可欠なものだ」

 世界1位の人口増加と高い経済成長で、グローバルサウス(新興国・途上国)の雄として存在感を増すインド。国際通貨基金(IMF)の予測では今年の国内総生産(GDP)は約4兆1900億ドル(約615兆円)で、日本を抜いて世界4位になる。

 日本がインドに向ける目は、かつての途上国に対するものから変化している。今回、石破氏が打ち出したインドへの10兆円の民間投資目標は、経済支援というよりも技術革新をともに進めるための「協業」の性格が強い。

 日本外務省幹部は「次世代のため、社会経済活動を共創していくパートナーとしての関係を作りたい」とインドとの連携の意義を話す。ITや人工知能(AI)、半導体といった先端分野での協力を深めたい考えだ。

 特に、インドの豊富な理工系人材をめぐっては世界で獲得競争が起きている。日本は労働人口の減少もあり、IT人材の不足は喫緊の課題とされる。「インドの高度人材取り込みは日本の経済成長に必要不可欠」(外務省幹部)との見方は強い。

 今回の会談で、両首相は今後5年間で50万人以上の人材交流を目標に掲げた。うち5万人は、高度人材の訪日を想定し、日本政府は日本語教育の促進などで後押しする。

 協力イニシアチブを打ち出した経済安全保障では、半導体の供給網の多角化が日印双方の課題だ。多くを輸入に頼るインドは半導体の国産化を進めようとしており、日本外務省幹部は「供給網を広げるならインドは外せない」と見る。

 半導体は開発から製造までの各過程で、国際的な分業が確立している。日本は半導体の製造装置や材料の分野でシェアが高く、強みを生かしてインドとの結びつきを深めようとしている。

 両国間の貿易額は近年増加傾向にあるが、どちらにとっても主要貿易国である中国や米国と比べると比重は小さく、日本からの進出企業数も横ばいが続く。日本側には「会談をかけ声だけでなく、実質的な進展につなげたい」(政府関係者)と期待する声もある。

 インドの自動車市場で約4割のシェア(占有率)を持つスズキは、2030年度までに1兆2千億円の設備投資を計画し、インドを世界各地への輸出拠点にも位置づけている。

 半導体製造装置メーカーの東京エレクトロンは、インドのタタ・エレクトロニクス社と24年にパートナーシップを締結。タタがグジャラート州に建設する半導体製造工場などで、製造装置の基盤構築に協力する。半導体材料を手掛ける富士フイルムも今年5月、タタに半導体の材料を開発・提供することで合意した。

 両首相は30日、新幹線で宮城県を訪問し、東京エレクトロンの工場を視察する予定だ。石破氏は29日の共同発表で訪問に触れ「機会を通じて様々なテーマでさらに議論を深めたい」と述べた。

対米関係悪化のインド 測る中国との距離

 米国とインドの関係が悪化する中で、モディ氏にとっても、今回の訪日は日本との協力を再確認する意義があった。

 「トランプ関税の爆弾が着弾した」

 インドの地元メディアNDT…

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