「僕らは戦争を知らない 世界中の不条理をなくすためにキミができること ハンディ版」の企画・編集を担当した澤田未来さん=2025年8月8日、東京都品川区上大崎2丁目、波絵理子撮影

 戦後80年の夏、若い世代が戦争を知り、平和について考える手がかりとなる1冊の本が発売された。太平洋戦争から、ロシアによるウクライナ侵攻やパレスチナ自治区ガザで続く戦闘まで、漫画やイラストを交えてやさしく解説し、発売前に重版も決まった。

 「僕らは戦争を知らない 世界中の不条理をなくすためにキミができること ハンディ版」(Gakken)は、ロシアやウクライナの情勢に詳しい軍事評論家で、東京大学先端科学技術研究センター准教授の小泉悠さんが監修を務め、7月10日に市販された。

 もともと昨年、学校図書館向けに刊行されたが、教員らからの反響を受けて、ハンディ版(税込み1760円)として発売された。「なぜ戦争は起こるの?」「戦争を起こした国を許していいの?」などのテーマについて、やさしい言葉で解説している。

 企画を提案したのは、同社の澤田未来さん(32)だ。ロシアによるウクライナ侵攻から1年が経った2023年2月、日本の人々の関心が薄れつつあることに危機感を感じたことがきっかけだった。報道を見て抱く、戦地の人への想像力や戦争への「解像度」が、自分たちの世代と戦争を体験した祖父母世代で大きく異なっているという実感もあったという。

「間違っていること、直球で伝える」挑戦

「僕らは戦争を知らない 世界中の不条理をなくすためにキミができること ハンディ版」の一部。各章の導入には漫画が入っている=波絵理子撮影

 本をつくるにあたっては、戦…

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