越智萌・立命館大学准教授=本人提供

 ウクライナに侵攻したロシア軍が集団強姦(ごうかん)を行うなど、いまも戦時下での性暴力は絶えない。戦後80年。国際社会は、戦争に利用されることもあった性暴力の問題にどう向き合ってきたのか。国際刑事法が専門の越智萌・立命館大学大学院准教授に話を聞いた。

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 戦時中の性暴力は隠蔽(いんぺい)され、政策の手段としても利用されてきました。敵に属する女性を蹂躙(じゅうりん)することは、戦争中の「報酬」とみられてきたのです。古代からそうでしたし、現代でも例えば、ウクライナに侵攻したロシア軍が占領下の住民に対して強姦(ごうかん)を含む性暴力を行ったことが報告されています。

 性暴力が国際法上の犯罪だと明確化されたのは、第2次世界大戦を経てからです。1949年に採択されたジュネーブ諸条約は、強姦・強制売春を戦争犯罪だと規定しました。ただ、このときはまだ、「名誉に対する侵害」という位置づけで、被害者個人の痛みを伴うものだという認識が欠けていました。

性暴力を監視し、記録し、忘れない

 転機は、90年代の旧ユーゴ…

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