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東洋英和女学院の史料室にあった戦時下のクラス日誌を使って平和を考える授業があった=2025年7月11日、東京都港区六本木5丁目、本間ほのみ撮影

 「当時のクラス日誌を見て、自分たちとの共通点や違いを見つけて」

 7月11日、東京都港区の東洋英和女学院中学・高校。中3の聖書の授業で上野峻一教諭(40)が、こう切り出した。

 同校では登校日は毎日、生徒がクラス日誌を書いている。この日に配られたのは、1943年度の中3と44年度の中2のクラス日誌の写しの一部だった。「字がきれい」「交代で書いているの、私たちと同じだ」。生徒たちは次々と声を上げた。

「戦争は恐ろしい」だけでいいのか

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東洋英和女学院の史料室にあった戦時下のクラス日誌=2025年6月19日、東京都港区六本木5丁目、本間ほのみ撮影

 第2次世界大戦下で焼失を免れた41~47年のクラス日誌39冊が残っていることが明らかになったのは、約15年前。学院の史料室で保管されている史料の目録を作り始めたことがきっかけだった。史料室が発行する「史料室だより」で今年5月、日誌を読み解く特集が掲載され、上野教諭の目にとまった。

 上野教諭にはある問題意識があった。毎年7月、聖書の授業では平和教育として、戦争を描いた映像などを見るのが定番だったという。「戦争は恐ろしいと伝え、『もう二度と起こさない』という気持ちを新たにすることは大事だが、脅すだけでは、積極的に平和をつくる行動にはつながらないのではないか」

 戦争は生徒にとって「リアリ…

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