「つるっとたまご」を考案した永田光希さん(右)と豊田倫久さん

 岐阜県立岐南工業高校(岐阜市)の生徒が考案したゆで卵の殻割り器が、商品化された。その名も「つるっとたまご」。テレビの人気番組でも紹介され、14日に販売を始めた。

 考案したのは同校を今月卒業した永田光希さん(18)と豊田倫久さん(17)の2人。

 商品はポリプロピレン製で、内側に突起・筋をつけた下部品と上部品の2パーツでできている。高さ4センチ・直径6センチほどだ。

 使い方は簡単。①生卵を下部品の突起に押し当てて穴を開ける②ゆでる③上下部品でゆで卵を挟んで押し込み殻にヒビを入れる④手で殻をむく――という流れだ。

 上部品には穴が開いており、生卵を入れると白身が下部品に落ちることで黄身と分離できるという便利機能も付けた。

 きっかけは豊田さんの自宅での夕食づくり。手伝っている際、「ゆで卵の殻はむきにくい」と感じた。部活動「電気研究会」の仲間の永田さんに相談し、2年生の夏休みから開発を進めた。

 突起や穴の形状を巡って実験を重ね、どの大きさの卵でも対応できるように工夫したり、黄身がきれいに分離できるようにしたりするため、3Dプリンターも活用して試作を続けた。数百個の卵を使い、「部の活動費で卵ばかり買い、生徒たちはゆで卵ばかり食べていました」(顧問の石井正人教諭)という労作だ。

 市のスタートアップ支援事業の拠点施設「Neo work―Gifu」や、金型メーカー「岐阜多田精機」(岐阜市)などの協力で商品化にこぎ着けた。

 豊田さんは「(学校では得られなかった)新しい知識を学ぶことができ、本当に楽しかった」と振り返る。黄色が基調の商品パッケージや税込み300円という価格について永田さんは「卵グッズなので黄色っぽくし、たくさんの人に使っていただきたいので安めにしました」と説明する。

 斬新なアイデアは、文部科学省などが主催する「デザインパテントコンテスト」の特別賞に選ばれ、テレビ朝日系の番組「ナニコレ珍百景」でも採り上げられた。

 就職先の会社で4月に働き始めるのを前に2人は11日、岐阜市役所を訪れ、柴橋正直市長に商品を披露。殻むきを試した柴橋市長は「毎日仕事に全力投球し、今回の経験を将来に生かしてください」と励ましていた。

 14日から17日まで販売し、目標個数を売り切った。追加販売の詳細は18日に同校ウェブサイト(https://school.gifu-net.ed.jp/wordpress/ginan-ths/)で公開する予定だ。

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