「手書きで板書を写すってそんなに重要ですか?」
東京都内の有名私立中高一貫校に通っていた女子生徒は、今年3月、高校進学を前にそうつぶやいた。「私立に入学しなかったら人生違っていたのかなあ」とも思う。注意欠如・多動症(ADHD)と自閉スペクトラム症(ASD)と診断されたのは、小学1年の時だった。読み書きが苦手な限局性学習症(SLD)もある。
必死で頑張れば、なんとか読める程度の文字は書ける。ただ鏡文字になったり枠に入らなかったり。「書く」ことに集中しなければ書けないので、内容は全く頭に入らない。黒板の文字列を目で見て、文字と書く位置を把握して覚え、想起してノートに手書きするという一連の「黒板を書き写す」作業は、とてもハードルが高い。
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公立小学校に通っていたころは、週1回、通級指導も受けていた。高学年になると、連絡帳は友達が書いてくれ、漢字ドリルなどの宿題もできる範囲でやればいい、と認めてもらった。担任の授業は大半がプリントの穴埋めで、ディスカッション形式の授業が多く、楽しかった。
探究心は人一倍旺盛で、学力も低くない。中学受験を意識したのは、もっと様々なことを学びたかったからだ。両親が共働きで帰りが遅いため、放課後を有効に過ごす目的で通った塾からも受験を勧められた。努力を重ね、第1志望校に合格した。
だが、そこで壁にぶつかった。
入学前から親子で、発達障が…