大阪市生野区で2018年、聴覚支援学校に通う井出安優香(あゆか)さん(当時11)が重機にはねられ死亡した事故で、将来得られたはずの「逸失利益」が争われた訴訟の控訴審判決が20日、大阪高裁で言い渡される。一審は平均賃金の85%としたが、遺族は健常者と同水準を求め、障害による影響を前提に「何%を差し引くか」と考える発想そのものの転換を訴える。

  • 亡き子が得られた利益、引き算で考える障害観「その思い込みに光を」

 「僕らが知らない安優香の話が、亡くなったあとにたくさん出てきた」

 父の努さん(52)は自宅でそう話すと、少しだけほおを緩ませた。

 安優香さんが亡くなってしばらく経ったある日、母のさつ美さんのもとを1人の高齢男性が訪ねてきた。

 男性は、安優香さんと帰宅で使うバス停が同じで顔見知りとなり、乗車中にノートで筆談していた。急に姿を見かけなくなり寂しく思っていたとき、新聞で事故を知ったという。

 ノートを差し出し、こう伝えてくれた。

 「バスでの7分間が、僕にとっては幸せな時間でした」

 神奈川県の高橋和代さん(5…

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