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「事件を風化させず、社会化することが重要」と話す、認定NPO法人抱樸(ほうぼく)の奥田知志理事長=2025年2月3日午後5時15分、北九州市八幡東区、興津洋樹撮影

 北九州市小倉南区内のファストフード店で昨年12月に起きた中学生殺傷事件では、近所の無職男性が容疑者として逮捕された。同市で孤立や貧困の問題に取り組んできた認定NPO法人「抱樸(ほうぼく)」の奥田知志理事長(61)は、「事件を防ぐためにできることはなかったのか」と自問する一人だ。事件をめぐる思いを尋ねた。

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 ――事件をどう感じましたか。

 近隣住民は、容疑者が大きな音を出すなど異変に気づいていたとのことです。大きな音というものは、孤立を感じている人が「私はここで生きているんだぞ」と存在を示すために出すことがあります。過去には孤立を感じてネット上で「叫び声」をあげた人が凶悪事件を起こした例もあります。今回の容疑者も孤立感を抱いていたのかもしれない、と考えてしまいます。もちろん、そうだとしても許されることではありません。

 ――住民たちは容疑者の問題行動を受けて2度、警察を呼んでいたそうです。

 地域の人は恐怖を感じていた…

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