Smiley face

【動画】拍手は「両手がぶつかり合う音ではない」ことが判明=米コーネル大のソンホァン・ジョン教授とイツォン・フーさん提供

 拍手の音の主な正体は、両手がぶつかりあう音ではない――。そんな驚きの事実を米日の研究チームが明らかにした。空きびんの飲み口に息を吹き込んだときに音が鳴るのと同じ現象だという。成果は米科学誌フィジカル・レビュー・リサーチ(https://doi.org/10.1103/PhysRevResearch.7.013259)に載った。

 応援や共感を伝えたり、感動や喜びを表現したり、子どもたちが音楽に合わせたり、拍手や手拍子は、とても身近なジェスチャーだ。しかし、人の手のひらというやわらかいもの同士の衝突と音波の伝わりがからんだプロセスは複雑かつ不安定で、音が出る仕組みや音の特性は、詳しく分かっていなかったという。

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実験では10人の協力者に、おわん型にした手同士、手のひら同士、手のひらと指の3パターンで拍手してもらい、その様子を高速カメラや録音機器などで記録した©Yicong Fu & Sunghwan Jung

 米コーネル大などの研究チームは、人の手や手のレプリカを使い、拍手するときの動きや音、両手の間の空洞の空気圧の変化、空気の流れを、高速カメラや録音機器などで同時に記録して調べた。

 その結果、手と手がぶつかった瞬間はほとんど音がせず、両手の間の空洞の空気が、親指と人さし指の根本のすき間から噴き出す時に音が生じると分かった。また、その音の周波数は「ヘルムホルツ共鳴」と呼ばれる現象の理論式から導かれるものと一致した。

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選挙の候補者らの演説に拍手を送る人たち。拍手は私たちの生活に身近なジェスチャーだ=2025年7月3日午前10時41分、福岡市、福井万穂撮影

 ヘルムホルツ共鳴とは、開口部のある容器の中の空気が、圧縮と膨張を繰り返し、ばねのように振動することで、特定の音が大きく聞こえる現象だ。空きびんなどの容器の飲み口に、息を吹き入れたときに「ぼーっ」と音が鳴るのが身近な例だ。容器の体積や、飲み口にあたる開口部の面積などで、音の周波数が変わる。

 拍手では、「両手の間の空洞」が容器、「親指と人さし指の付け根にできるすき間」が開口部に対応する。シリコーンでつくった手のレプリカで、空洞部分の体積や開口部の面積をさまざまに変えて実験したところ、ヘルムホルツ共鳴の理論式から導き出せる周波数とよく一致したという。

「物理学の美しさを再認識した瞬間だった」

 目からうろこの結果だが、研…

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