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英国のナショナル・シアターが劇場近くに新たに設けた衣装や道具の倉庫 ©Reed Watts Architects, photo by Pete Goding
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 英国の演劇界で、環境に優しい作品製作や劇場運営が広がっている。2021年には、業界関係者たちが自ら、実践の基準や手法を示す「シアター・グリーン・ブック(TGB)」を作った。日本の演劇人にも刺激となっている。

「シアター・グリーンブック」 業務別に目標3段階

 演劇は環境上持続可能にならなければいけない――。6月にウェブ上で公開されたTGBの最新版にはそう記されている。

 TGBには、劇場建築の専門家や国内の主要劇場の関係者が知見を出し合い、今も100人前後が内容の更新などに関わる。

 「作品製作」「劇場運営」「建物管理」の業務別に、それぞれ3段階の目標が設定されている。

 例えば「作品製作」の場合。最も易しい「ベーシック」の達成には、「舞台上にある物の50%が再利用またはリサイクル品であること」や「使用後の材料の65%を保管または再利用する」ことなどが求められる。また、スタッフ間の合意形成に始まり、上演までのステップをリスト化。道具や衣装の数量などを入力すると、再利用品の割合などが計算できるエクセルファイルも公開している。

 50年までの温室効果ガス実質排出ゼロが法制化された英国。TGBのプロデューサー、ローラ・セジウィックさんによると演劇界でも環境問題への関心は高く、コロナ禍の劇場閉鎖期に、劇場共通の基準作りを求める声が高まったという。

 現在、公的助成を受ける劇場…

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