北口榛花(はるか)(26)は旭川東高校3年だった2015年、陸上の世界ユース選手権女子やり投げで金メダルを獲得した。“世界一”の実績をひっさげ、卒業後は陸上競技で多くのオリンピアンが輩出している日大へ進んだ。

 1年生だった16年5月の大会で当時の日本歴代2位の記録をマーク。順調に滑り出したものの、2年生になると予期せぬ事態が訪れた。

突然コーチが退任 「陸上やめてしまうのでは」

 師事していたコーチが急に退任。指導者不在の状態が続くことになった。北口は「この頃はやり投げを深く理解しようと思っていた時期。そんなときにひとりぼっちになり、競技人生で一番不安を感じていた」。

 競技会での成績が低迷。3年生のときに迎えた18年の日本選手権では4投目以降に進めず12位。高校時代の恩師、松橋昌巳さんは「陸上をやめてしまうのではないかと感じるほど、あのときの北口は追い込まれていた」と振り返る。

 現状を打破しようと、北口は海外へ目を向けた。

 18年11月、やり投げ関係者が集う国際講習会に参加するため単身でフィンランドへ。現地で関係者に紹介されたのが、やり投げ強豪国のチェコでジュニア世代を教えていたダビド・セケラクコーチだった。

女子やり投げで優勝し、ダビッド・セケラックコーチ(右)から日の丸を手渡される北口榛花=内田光撮影

 自分にコーチがいないこと、もっと記録を伸ばしたいこと……。

 身ぶり手ぶりを交えながら現状を説明した。

 セケラク氏はこう言った…

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