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大川玲子さん
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 日本性科学会理事で産婦人科医の大川玲子さん(76)は長年、セックスセラピストとして女性の性の悩みに向き合っています。

  • 連載「オトナの保健室」

 人間の性機能は性欲、性的興奮、オーガズムに大別され、それぞれがうまくいかないことを性機能障害といいます。男性なら勃起障害や早漏、膣(ちつ)内射精障害など。女性の場合はぬれない、オーガズムに至れない、挿入時に痛みが生じる性交痛なども重大な性機能障害です。2018~19年にドイツで行われた調査によると、過去1年間に性行為をした人のうち、男性の13・3%、女性の17・5%が何らかの性機能障害を自覚していたそうです。

 私の性機能外来を受診する女性のうち、8割近くは性交痛からくる挿入障害です。痛くて全く挿入できない患者さんも多く、触るだけで痛いという人や、中にはセックスのことを考えただけで性器が痛くなると訴える人も。ほとんどの場合、診察してみると体には問題がありません。

自分の性器を信じるために

 原因のひとつに、「初めてのセックスは出血して痛いものだ」という誤った認識の刷り込み、いわゆる処女膜神話があると思います。実際には、処女膜は膣を完全にふさいでいるわけではなく、初めてでも血は出ない場合も多いのですが。男性側も女性が痛がるのは普通だと思いこんで無理やり挿(い)れてしまうので、女性には痛みの記憶が残り、経験談として広まる。性的に興奮するにはリラックスすることが大事なのに、恐怖が先行するせいでぬれず、余計に痛みが出てしまうのです。

痛くて入らない、たたなくてつらい。それ、原因はメンタルかもしれません。インタビュー後半では、具体的な治療の進め方や、セックスセラピーにかける大川さんの思いを聞きました。

 恐怖が強い人には、膣は何か…

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