損害保険大手4社の契約者情報が代理店を通じて他社に漏れていた問題で、漏洩(ろうえい)した情報が4社で計約250万件に上ることが30日、分かった。各社が金融庁に報告し、公表した。金融庁は内容を精査し、必要に応じて追加報告を求める方針だ。
各社によると、損害保険ジャパンが約99万1千件、東京海上日動火災保険が約96万件、三井住友海上火災保険が約33万6千件、あいおいニッセイ同和損害保険が約21万7千件だった。契約者の氏名や証券番号、住所や電話番号などが漏れていた。
この問題は今年4月、東京海上日動火災で発覚し、その後、各社でも明らかになった。金融庁は7月22日、大手4社に対して保険業法と個人情報保護法に基づく報告徴求命令を出していた。
情報漏れの経路は、主に二つある。一つは、自動車ディーラーなどの代理店から他社に契約者情報がメールで共有されたケースで、全体の9割超にあたる約226万5千件に上った。関わったディーラーなどは延べ約1200社になる。
- 損保4社、契約者情報を相互共有 背景に悪しき慣行「テリトリー制」
背景には、ディーラー側が選んだ損保1社について、その社の保険商品だけを顧客に推奨する「テリトリー制」という商慣行がある。テリトリーに指定された損保は、顧客の契約更新などの保険業務を手伝うことになるため、ディーラーが契約者情報を損保各社に共有する目的で一斉に流していた。それを損保側も黙認していた。
各社は「個人情報の漏洩に該当するという認識をしていなかった」(損害保険ジャパン)、「問題ないと誤認」(三井住友海上)などと説明している。
もう一つは、代理店に出向した損保社員が、他社の契約者情報を、出向元の損保に持ち出すケースだ。全体の1割弱に当たる約23万8千件で、情報を取られた代理店は延べ119店だった。
他社を含む契約シェアを把握…