(26日、第154回九州地区高校野球大会準決勝 唐津商1―2神村学園)
1―1の同点で迎えた四回裏の守り。1死二、三塁のピンチで、唐津商の捕手、松尾優太(3年)はエース木本夢翔(2年)の変化に気づいた。打者から目を離さない。木本がムキになっている時に出るクセだ。
すぐさまマウンドに駆け寄った。「しっかり落ち着いて。強気で行こう」
ホームベースの後ろに座り、手を大きく広げる。「俺を見ろ」。木本と目が合う。
そして、木本が得意とする内角ギリギリの直球を中心に配球を組み立てた。後続を打ち取り、同回を無失点に抑えた。
昨春、故障を機にグラウンド外から仲間のプレーを見るように。すると、それぞれのプレーに一喜一憂する仲間の姿に気付けるようになった。
この観察眼を武器に、木本をうまく落ち着かせ、相手打線を封じた。
だが、延長十回裏タイブレーク、2死満塁で適時打を許しサヨナラ負け。特に試合序盤は、強豪を相手に気持ちの面で押されてしまったと振りかえる。「エースを一番よく知る自分が、強気にリードして夏は勝つ」と前を向いた。(太田悠斗)