親の熱意とは裏腹に、負の影響を及ぼしかねない「教育虐待」を避けるには、保護者はどうすればいいのか。小児科医として数万人の診療経験があり、多くの親子の悩みに耳を傾けてきた新百合ケ丘総合病院(川崎市)の高橋孝雄・発達神経学センター長に聞いた。
――近年、中学受験熱が高まるなか、教育虐待の増加を懸念する声があります。
教育虐待に当たると感じる事例は以前からあり、近年、その頻度が高まってきた印象はあります。増えたのか顕在化したのかはわかりませんが、目につくようになったとは言えます。
――教育虐待とみられる事例に共通点はありますか。
私が拝見するのは、子どもに何らかの症状が出て受診するほど深刻化したケースであり、平均像とはずれている可能性があります。それを前提に言えば、保護者が子を愛するあまりの過干渉という共通点があります。
小さい頃から着る物、食べる物の全てに気を配り、勉強時間を管理する。子は無自覚のまま追い詰められ、思春期が始まる小学5~6年生ぐらいで拒食や無気力などの症状が表れて来院するケースが多いと感じます。不登校や、暴れるなどの問題行動が受診につながるケースも多くみられます。
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――保護者が過干渉する理由…