動物園で人工飼育され、木曽駒ケ岳のケージに移されたライチョウ=2024年9月17日午後4時14分、長野県・中央アルプス、小宮健撮影

 国の特別天然記念物で絶滅危惧種でもあるライチョウの、中央アルプス(長野県)での「復活作戦」が最終段階に入った。動物園で数代にわたり人工飼育した一族のヒナを野生復帰させる初の試みが17日、木曽駒ケ岳(標高2956メートル)で始まった。成功すれば、中央アルプスの個体数が増える可能性が高まり、絶滅リスクの低減につながる。

 同日午後、作戦を主導する環境省の職員らが、大町山岳博物館(長野県大町市)と那須どうぶつ王国(栃木県那須町)の2園から10羽のヒナを陸送。山頂付近に運ぶまでに3羽が死に、生き残った7羽が事前に用意されたケージに移された。ヒナたちは約1週間、ここで過ごした後、自然に放たれる。冬を越えて成鳥になり、自然繁殖ができれば、成功とされ、同省はその確認を続ける。

 日本のライチョウは本州中部の高山帯だけに生息する。山岳信仰とも結びつき「神の鳥」とも呼ばれてきた。ただ、テンやキツネといった天敵の高山帯への侵入や気候変動による自然環境の変化などで、1980年代にはいずれも推定で約3千羽いた個体数が、2000年代には2千羽弱にまで減少。同省のレッドリストでは「絶滅危惧ⅠB類」(近い将来絶滅の危険性が高い)に分類され、同省は14年から生息域を現在の5カ所から、6カ所に増やすべく、保護・増殖に取り組んできた。

山で採取した成鳥の糞をヒナへ

 17日に始めたのは卵を動物…

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