矢口高雄さんの漫画「釣りキチ三平」の原画が、秋田県横手市の横手市増田まんが美術館で展示されている。
2023年9月19日 20:00(日本時間)
政府や出版業界は漫画原画の保存に向けた取り組みを強めており、講談社など出版社は漫画資料を守る組織を設立しており、文化庁の2024年度概算要求には漫画原画モデル事業の予算も盛り込まれている。適切な体制を確立します。
漫画原画の破棄や海外流出が問題になる中、関係者は作品の価値をより多くの人に知ってもらおうと企画している。
3,500万円で売却
「ねじ式」などシュールな作品で世界的に評価の高い漫画家、つげ義春さん(85)の長男でマネージャーのつげ祥介さん(47)は「年々紙が黄ばんでいて困っている」と話す。
2020年に父の全集が出版されると、章介さんは良春さんの家で漫画の原画を整理し、印刷所に持って行った。
その際、紙の劣化などの問題を知り、漫画原画の保存について真剣に考えるようになった。
章介さんは「漫画の歴史の記録として、父の世代の漫画作品の原画を保存すべきだ」と語った。
漫画の原画は、印刷用の版を作成するための最初の原稿です。 かつてはあまり大切に扱われず、雑誌や書籍の印刷後に廃棄されることもありました。 吹き出し内のセリフなどのテキスト部分は、別紙に印刷した活字を原稿に直接貼り付けました。 接着剤が変色し、原画を傷める恐れがあります。
漫画原画はファンの間で人気があるだけでなく、手書きの絵や線が含まれていることから、近年その芸術的価値が注目されています。 手塚治虫の作品「鉄腕アトム」の原画が、パリのオークションでヨーロッパのコレクターに約3500万円で落札された。
しかし、京都国際マンガミュージアムなどマンガの原画を保存できる施設は限られている。
同館担当者は「資料の提供を希望する問い合わせが多数寄せられており、現在資料提供希望者待ちの状態になっている」としている。
業界を超えた取り組み
こうした中、出版社などが5月に一般社団法人「マンガアーカイブ機構」を設立した。 会員には漫画出版社 15 社からなる協会も含まれています。
同団体には、講談社、集英社、小学館、角川など大手漫画出版社がそれぞれ1000万円を出資し、全国の美術館と協力して今後5年間で36万点の漫画原画を収集・保管することを目指している。
この団体は、漫画原画の保存について出版社、文化庁、大学などが協議して生まれた業界横断的なプロジェクト。 現在は秋田県横手市の横手市増田まんが美術館を拠点としているが、将来的には漫画原画の収蔵能力を強化する予定だ。
「釣りキチ三平」で知られる横手市出身の漫画家・矢口高雄さんら183人の漫画原画45万点以上が収蔵されている。 原画の保管場所は状況に応じて関西地区などに拡大する。
世界のマンガ市場では、日本の作品が売上の50%近くを占めると言われています。 しかし、原画の適切な保存体制が確立されなければ、今後の国際展示会や研究活動に影響を与える可能性があります。
「漫画の原画が浮世絵のようなものにならないよう、業界全体を結集させたいと考えています」と、明治時代(1868年から1912年)頃に海外に広く拡散した漫画原画の多くが、同社専務取締役の森田宏明氏は語った。講談社、元週刊少年マガジン編集長。
アニメーションセル
文化庁は来年度予算の概算要求に、漫画の原画やアニメのセル画を収集・保存するモデル事業を盛り込むなど、日本の漫画文化の保護に本腰を入れている。 漫画原画の特別展示や新たな国立展示施設の建設も検討している。
マンガは入り口となって日本文化のファンを増やしてきました。 映画化もされた競技かるた漫画「ちはやふる」が外国人への普及に貢献したと言われている。
マンガやアニメのアーカイブに詳しい明治大学の森川嘉一郎准教授(現代日本文化)は「大英博物館でも日本のマンガの原画を特集した大規模な展覧会が開催された」と語る。
森川氏は「国は漫画家の現在の評判や受賞歴だけではなく、より広い観点から資料を保存する制度を確立すべきだ」と述べた。
漫画の原画を体系的に保存・活用するための適切な制度を検討する必要がある。