兵庫県の元西播磨県民局長が斎藤元彦知事らを内部告発した問題をめぐり、次回の県議会の調査特別委員会(百条委員会)は9月5、6日に開かれる。斎藤知事や片山安孝前副知事らへの証人尋問が予定されている。調査のテーマは、公益通報者とされる元県民局長を懲戒処分とした経緯で、公益通報制度に詳しい大学教授らを参考人として呼ぶ。そのほか、斎藤知事が県内企業などから贈答品を受け取った疑惑についても調査する。
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5日には参考人として、内部告発者保護法制に詳しい上智大学の奥山俊宏教授が公益通報者保護について証言する予定だ。県幹部ら5人の関係者も出頭し、一部は非公開で行われる。
6日は、斎藤知事と片山前副知事が証人として出頭する。尋問の様子はいずれも一般公開される。参考人として消費者庁公益通報者保護制度検討会委員の山口利昭弁護士も呼ばれている。
元県民局長の懲戒処分をめぐる一連の経緯は、百条委が23日に非公開で開いた県職員への証人尋問の中で明らかになった。
百条委や県関係者によると、元局長が4月4日に公益通報窓口に通報した後の同月上旬、ある県職員が「調査結果が出る前に処分するべきではないのでは」と副知事に次ぐ幹部である理事(当時)と、総務部長(同)に進言した。
進言を受けた2人は同月中旬、知事に公益通報の調査日程の見込みを示しながら、この結果が出るまで処分を待つよう伝えた。これに対し、知事は一度は了承したという。
しかし、知事はその後、「公益通報の調査結果を待たずに処分できないか。弁護士に確認してほしい」と人事当局に指示。県の特別弁護士は「法的に問題ない」と回答し、人事当局は知事に伝えた。これを受けて、知事は処分を決断したという。
元局長を停職3カ月とする懲戒処分案は5月2日、総務部長や次長級の職員ら15人で構成される綱紀委員会に諮られた。委員の県職員3人が処分に否定的な意見を述べた。知事の決断は変わらなかったといい、同7日に処分が公表された。(杉山あかり)