昨秋の兵庫県知事選で、再選した斎藤元彦知事とPR会社社長が公職選挙法違反容疑で告発された問題で、兵庫県警は20日、斎藤知事と社長を同法違反の疑いで神戸地検に書類送検した。捜査関係者への取材でわかった。県警は起訴を求めるかどうかの「処分意見」を明らかにしていない。
書類送検は、告訴や告発を受理するなどして任意で捜査した結果を、証拠資料などとともに検察官に送る手続き。神戸地検は今後、斎藤知事と会社社長の刑事責任を問うか慎重に判断する。
元東京地検検事の郷原信郎弁護士が昨年12月、斎藤知事を買収容疑で、PR会社「メルチュ」(兵庫県西宮市)の社長を被買収の容疑でそれぞれ地検と県警に告発し、受理されていた。
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問題のきっかけは、知事選の投開票から3日後の昨年11月20日、社長が投稿サイト「note」に、「斎藤陣営で広報全般を任せていただいていた」などと書き込んだことだった。
公職選挙法は、候補者が当選を得るなどの目的で選挙運動員に金銭を渡すなどの行為を禁止している。運動員が金銭の提供を受け入れることも禁じている。
このため、社長の広報活動が知事選での選挙運動に該当し、対価が支払われていれば、公選法に抵触するのではないかとの指摘がインターネットなどで相次いだ。
斎藤知事の選挙運動費用収支報告書などによると、知事側からメルチュに71万5千円が支払われていた。
告発した郷原弁護士らは、この支払いのなかに、社長に委託した「戦略的広報業務」の選挙運動に対する報酬が含まれていた、と主張している。
これに対し知事側は71万5千円について、チラシ、ポスター、選挙広報のデザイン制作など法的に認められた5項目への対価で、違法性はないと説明してきた。
地検と県警は今年2月、メルチュの社長の関係先を家宅捜索して関連の資料やスマートフォンなどを押収した。社長に任意で事情を聴いていたことも明らかになっている。
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