関西電力が福井県美浜町の美浜原発内で、原発新設に向けた調査の方針を明らかにしてから22日で1カ月になる。要望がかなった地元は歓迎の意を示すが、建設には多額の費用が見込まれるなど、越えなければならないハードルも多い。
原発が立地し、原発関連の作業員らを受け入れる旅館が点在する美浜町丹生地区。関電の発表から約1週間経った7月下旬、旅館を営む50代男性のもとを関電社員2人が訪れた。
社員は「電力不足や原発の耐用年数のことがあり、建て替えに向けた調査を始めたい」と説明。男性は「やっとか、うれしいわ」と応じたという。
原発建設には20年程度の期間を要するとされ、新設が決まれば、数十年にわたって調査や工事が続き、作業員が集まり地元が潤う。「最近は聞かない景気のいい話や。どかんと起爆剤になる」と期待する。
別の旅館を営む70代の男性は8月上旬、訪ねてきた関電社員から説明を受けたが、原発の新設は不要と考えている。
かつて3基の原発が動いていた時は、地域に20軒近い旅館があった。しかし、老朽化した1、2号機は廃炉になり、旅館は半分に減った。「地区の高齢化も進む。旅館も私の代で終わりや」と話した。
関電の発表後、町側の反応は早かった。
町の財政は原発に依存してお…