「知床」の世界自然遺産登録をかなえた当時の北海道斜里町長、午来昌(ごらいさかえ)さん(88)の目に、「いま」の知床はどう映るのか。7月23日、朝日新聞がチャーターした軽飛行機で一緒に知床半島を飛んだ。遺産地域の「核心部」とも言われる知床岬を眼下に、さまざまな思いを巡らせていた。

 記録的な猛暑で熱中症警戒アラートが北海道内各地で発表される中、女満別空港を午後0時半、離陸した。すでに36度を超していた。

チャーター機から知床半島の様子を見る元斜里町長の午来昌さん=2025年7月23日午後0時53分、北海道・知床半島、朝日新聞社チャーター機から、加藤丈朗撮影

 羅臼岳(1661メートル)を主峰とする知床連山の山並みや知床五湖を眺め、30分余りで知床岬の先端部上空へ着いた。山林の際から広がる新緑の台地、断崖の入り江が続く海岸線……。午来さんは窓越しに、しきりにカメラのシャッターを切っていた。知床岬は自身にとっても思い出深く、大切なところなのだ。

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