金沢工業大学の研究室から宇宙を見据える森吉貴大さん=石川県野々市市、石川幸夫撮影

 宇宙から地球へ帰還するとき、最も重要な行程のひとつが大気圏への再突入だ。機体が火の玉となって落下する。金沢工業大学工学部航空宇宙工学科の森吉貴大助教(32)は、その過酷な世界を、従来の技術とは違うアプローチで切り開こうとしている。

 大学にある研究室は、車なら4~5台駐車できるガレージのようだ。実験用の送風機や3Dプリンター、大小様々な道具が並ぶ。手に取って見せてくれたのは、平らなコマにも見える手のひらほどの道具。「エアロシェルの縮小模型です。これを使って実験をします」

 展開型エアロシェル――。森吉さんが取り組んでいる次世代の技術だ。宇宙から帰還する機体は高速で大気圏に突入し、空気が押しつぶされて圧縮され、超高温状態になる。この熱にいかに耐えるかが課題であり続けている。

 展開型エアロシェルは、突入…

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