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花角英世知事(左)から寄付金の目録を受け取った新潟大の牛木辰男学長(中央)と佐藤昇医学部長=新潟県庁

 日本一の医師育成拠点をめざすとして、新潟大学医学部が設けた基金に新潟県が8日、5千万円を寄付した。県内は全国の中でも医師不足が深刻とされる。基金の活用によって教育環境を充実させてより質の高い医師を育てるとともに、将来的には地域医療の担い手になることを県は期待しているという。

 新潟大医学部は2023年4月、入学定員を全国最多規模の140人に増やした。また教育の質も向上させるとして、学ぶ環境や体制の整備に向けた費用に充てる基金を同年2月に設立。26年3月までに3億円を集めることを目標に、県と連携して寄付などを呼びかけてきた。これまでに寄せられたのは個人や団体からの約200件、計約1億7千万円(県の分を含む)になるという。

 医師の確保に向け、定員増だけではない方法も取る。140人のうち40人は、国の認可を受けて各大学が設ける「地域枠」で入学。在学中は修学資金を受けられて、医学部卒業後に県内の病院で9年間勤務すれば、返済を免除される。新潟県の地域枠は年々増え、今年度は新潟大の40人のほか、県外の11の私大医学部に37人分の枠が設けられた。

 8日にあった贈呈式で、花角英世知事は「新潟は残念ながら医師少数県とされている。地域枠で学ぶ環境をさらにより良いものになるように後押しさせて頂きたい」とあいさつ。新潟大の牛木辰男学長は「基金を有効活用し、地域に貢献できる医療人の育成に取り組んでいく」と語った。佐藤昇医学部長は「専門分野にとらわれず、守備範囲の広い総合診療能力のある医師を育てることが求められている」と話した。(北沢祐生)

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