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沖縄尚学―日大三 優勝し、アルプススタンド前へ駆け出す沖縄尚学の選手たち=伊藤進之介撮影
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 (第107回全国高校野球選手権決勝 沖縄尚学3―1日大三)

 初優勝を果たした沖縄尚学と、準優勝した日大三(西東京)には、共通点がある。下級生から上級生、選手から指導者に余計な「遠慮」がなく、のびのびとプレーしている点だ。

 沖縄尚学は今大会の躍進を支え、決勝でも継投で日大三を1点に抑えた末吉良丞(りょうすけ)と新垣有絃(ゆいと)の両投手が2年生。レギュラーの野手8人が3年生で、堅守で支えてきた。

 選手たちは「自分たちの代から特に上下関係がなくなってきた」と口をそろえる。卒業生でもある比嘉公也監督(44)は自身の高校時代の上下関係と比較し、「いまと真逆ですよ」と笑う。

 きっかけは昨春。選手が日々感じたことを書く野球ノートで、当時の3年生が「3年生がなるべく多くベンチに入れるように頑張りたい」と書いた。監督は選手全員を集め、諭すように話した。

 「学年で野球をしているわけじゃないよ」

 下級生にも遠慮なくプレーしてほしいとの思いからだった。この言葉を胸に刻んだ今の3年生が、学年の壁を取り払った。

 3年生の二塁手、比嘉大登選手は、新垣有選手と仲良しだ。今大会中、ふたりでリフレッシュがてら酸素カプセルの施設に出かけた。「(新垣有に)ひざ枕してあげました。後輩は甘えん坊ばかりなんです」

 仲間との絆は、土壇場のプレーにも表れる。山梨学院との準決勝は、今大会好投を続けてきた末吉が六回途中4失点で降板した。

 3年生が奮起した。「このままじゃ2年生に申し訳ない」と捕手の宜野座恵夢(えいむ)選手。3点を追う六回に左翼線二塁打を放ち、同点劇のきっかけとなった。七回に比嘉選手の勝ち越し打が飛び出し、逆転勝ちした。

 末吉投手は先輩たちについて「バックを任せて頼りになる存在だし、普段も優しく声かけてくれる」。決勝も「先輩方と最後の試合だと思う。最後もしっかり勝ちで終わらせたい」と腕を振った。

 日大三の選手たちが一斉にベ…

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