Re:Ron(リロン)編集部から

 ニュースに「男消し構文」が潜んでいる――ライターのヒオカさんが、寄稿連載「普通ってなんですか」の最新回で迫った。事件の加害者が女性だと「見出し」で性別が強調されるのに、男性だと性別が抜け落ちるといった、男女の非対称な報じられ方への違和感を示すSNS上の言葉だという。

 ヒオカさんは様々な実例を挙げ、ライターとしての実体験も振り返りながら、その要因や背景となる社会を書いた。記事には様々な識者が、「『男消し・女強調』の傾向は、ニュースのみならず、日本風土の中全体にあふれている」などのコメントを寄せた。

 耳慣れない言葉だったが、筆者が関わった二つのニュースを思い出す。

 一つは、2021年に千葉県の教職員7人が懲戒処分になったニュース。複数の男性教諭が生徒にわいせつ行為をしていたが、見出しは「男性」に触れていなかった。

 もう一つは、5年ほど前、乳幼児3人を一手に育てていた母親が0歳児を衰弱死させてしまった事件。罪に問われたのは母親だけだった。別居状態だった父親は、母親が「限界なんじゃないか」と思っていたと裁判で証言したという。

 ヒオカさんの文章には、加害者男性が「透明化」される見出しや報じ方への批判とともに、ともすれば無意識に「男消し構文」の見出しをつけてきたマスメディアの「普通」への問いかけが込められている。「あなたの思うその〝普通〟は、だれかを踏んでいませんか?」と。

 1990年代半ば生まれ。地方のまちが原風景。そして言葉に関わる仕事をしている――。ヒオカさんと筆者は共通点がある。言葉を追い、問い続ける連載に力を借りながら、問いかけ、発信したい。

  • 【ヒオカさんの寄稿はこちら】ニュースに潜む「男消し構文」 加害者男性が〝透明〟になる要因とは

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