Smiley face

 (第77回春季関東地区高校野球茨城県大会準決勝、境8―7水城=延長10回タイブレーク)

 高校に入学後、初めての公式戦のマウンドだった。

 境の5番手投手を務めた宮田璃央斗(りおと)(2年)。九回表には内野安打を放ち、一塁に出塁していた。攻撃終了後ベンチに戻ると、間中大介監督からリリーフを告げられた。

 「最近、練習試合で投げた記憶はないけど、投手は自分しかいない」。覚悟はできていた。

 九回裏の守りの直前。この日降板していた投手の野口稜斗(3年)から「宮田なら行ける」と声をかけられた。「心臓が痛いくらい緊張したけど、仲間の言葉を信じることで少し自信を持てた」。緩急をつけて好投。タイブレークを含め2回を1安打無失点に抑えた。

 悔やむのは右前安打にされた1球だけ。あとは狙ったコースに投げられた。間中監督も「試合前、登板を想定していなかったが、胸元のインコースに投げて度胸があった」と太鼓判を押す。

 打っても、九回表の内野安打は、外角低めのスライダーを打って同点適時打だった。両チームとも13安打の乱打戦の中で、「神がかっている」(間中監督)。

 チームは春の県大会4試合すべてで逆転劇を見せてきた。「日替わりのヒーローが出ていて、正直、自分がそうなっている」とはにかむ。37年ぶりの春王者が見えてきた。

 【経過】境の勝負強さが光った。九回、小曽根、宮田の連打で3点差を追いつくと、延長十回タイブレークに星野の適時打で勝ち越した。水城は2点先行された三回、青木の2点適時打などで逆転に成功。その後も試合を優位に進めたが、最後に力尽きた。

共有