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米軍普天間飛行場の方向を見つめる仲宗根愛子さん。米軍機はいつもこの一帯を飛んでいるという=2024年10月16日午後5時18分、沖縄県宜野湾市、小野太郎撮影

 長年問題を指摘されてきた日米地位協定の改定が、衆院選を前に注目されている。首相の持論で、野党も改善を公約に掲げる。だが、霞が関の官僚らは及び腰。政治の本気度が試される。

 今月上旬の午後10時ごろ。秋の夜風を入れようと、小中学生の娘2人が寝支度する部屋の窓を開けた時だった。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の近くに住む主婦の仲宗根愛子さん(39)の耳に、米軍機の轟(ごう)音が響いた。市内で生まれ育ち、何度も聞いてきた音だが、その度に不安で落ち着かなくなる。すぐに窓を閉めた。

 普天間飛行場は市の真ん中にあり、輸送機オスプレイや大型ヘリの音が日常的に響く。沖縄県が設置する測定局では、電車のガード下に相当する100デシベルを超える騒音も記録されている。特に静かな夜間は影響が大きく、眠りを妨げられる。

 普天間では午後10時~午前6時の飛行は運用上必要なものに制限され、夜間訓練飛行は最小限にするとの1996年の日米合意がある。にもかかわらず、防衛省沖縄防衛局の目視調査によると、同時間帯の離着陸回数は年300~400回台で推移し、今年1~8月はすでに392回確認されている。1日1.6回になる計算だ。

 「子どもが泣いて起きた」「うるさくて眠れない」。市が設ける基地被害の窓口に寄せられた今年の苦情件数は、9月末までで約220件にのぼる。

 8年前には沖縄県の調査で、発がん性が指摘される高い値の有機フッ素化合物(総称PFAS〈ピーファス〉)が基地周辺の河川や湧き水から検出された。ほぼ分解されず、体内に蓄積する恐れがある「永遠の化学物質」だ。

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