Smiley face
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ミズヒキゴカイの仲間。水引のような鮮やかな触手が名前の由来になっている=自見さん提供
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 日本の沿岸に広く分布するゴカイの仲間の一種「ミズヒキゴカイ」が、実は複数の種に分けられることが名古屋大などのチームの研究でわかった。汚い海の指標になる生物とされていたが、必ずしもそうとも言い切れず、評価を見直す必要があるかもしれないという。

 ミズヒキゴカイの仲間は、世界各地の海岸に分布する。普段は砂の中などに潜っており、体からのびる複数の糸状の触手を水中に出している。その様子が、贈り物などに添える紅白の水引に見えることが名前の由来といわれる。

 これまでミズヒキゴカイは、汚れた海域に生息するとされてきた。そのため、事業開発などが周囲の環境にどう影響を与えるかを調べる「環境アセスメント」の指標になる生き物として用いられてきた。

 ただ近年、日本周辺のミズヒキゴカイには複数の種が含まれる可能性が指摘されていた。名古屋大の自見直人講師(系統分類学)も、汚濁があまりなさそうな海域でも観察できることなどから「あやしいと思っていた」と言う。

 元々ゴカイが好きだった自見さんにとってもミズヒキゴカイは特にお気に入りの生き物だった。そこで、大学院生だった2014年に日本各地のミズヒキゴカイがすべて同じ種なのか調べることにした。

 環境の指標として適切かどう…

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