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 中国の粉ミルクメーカーが日本企業との提携を発表したところ、SNS上で批判にさらされ、釈明に追われる事態になった。発表内容を誤解したものもあったが、相手が日本というだけで反感をあらわにした投稿も目立った。日本との連携を模索する中国企業側も、こうした反日的なネット世論を無視できないようだ。

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 騒動のきっかけは今月初め、中国の粉ミルク最大手、飛鶴乳業が、日本のバイオケミカル企業と技術協力で合意書を結んだことだった。報道によると、飛鶴乳業は1962年に黒竜江省で創業した老舗。昨年1月時点で、中国の乳児用粉ミルク市場で21.5%のシェアを持ち、5年連続でトップとなっている。

反日感情あらわに

 国営新華社通信などは8日、両社が東京で合意書に署名を交わす様子を報じた。しばらくは目立った反応はなかったが、それから1週間後の16日、報道された写真とともに「日本の原料を使うのか」などと批判の書き込みがSNS上で広がった。

写真・図版
中国の店頭に並ぶ飛鶴乳業の粉ミルク製品=2024年10月21日、上海市、小早川遥平撮影

 合意内容は技術提携に関するものだけで、日本の原料を使うといったものはない。しかし中国ではかつて国産粉ミルクへの有害物質混入で大規模な健康被害が出た。さらに、日本の農林水産省によると、福島第一原発事故後、放射性物質検査の内容で合意に至らず日本から中国の乳製品は実質輸入停止になっている。消費者が粉ミルクの安全性に過敏に反応したこともあったのか、事実に基づかない内容が拡散された。

 さらに、輸入停止などの経緯から離れて「赤ん坊の健康を日本人の手に委ねることはできない」などと反日感情をあらわにする内容も目立った。SNSの微博(ウェイボー)では同社の粉ミルクに関するハッシュタグの付いた投稿が、この日だけで1千万回以上も閲覧された。

 ネット上での批判を受けて、飛鶴乳業は18日、「日本の原材料を輸入している、という虚偽の情報が拡散され、ブランドに深刻な影響が出た」とする声明を発表。悪質な投稿を警察に通報し、今後は法的措置を取ることを示唆した。

過去にも「こびてる」と大手企業が批判 中止されたイベントも

 中国企業が日本に絡んで国内からバッシングを浴びたのは今回が初めてではない。

 今年3月には、飲料水最大手…

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